後は京香からの返事を待つだけだと、恭汰は思った。

スマートフォンで撮影したこの画像と娘である都の名前を出した以上、京香はもう逃げられないだろう。

(我ながら、本当にひどい策略だ)

心の中で呟いた後、恭汰は京香に気づかれないように息を吐いた。

「――わかりました」

京香の返事に、恭汰は心の中でガッツポーズをした。

「理解が早くて助かったよ。

じゃあ、今夜この前のホテルで待ってるから」

京香の肩をポンとたたくと、恭汰は会議室を後にした。

会議室を出て行く彼の後ろ姿に、京香は唇を強く噛んだ。

壁にもたれかかると、恭汰は息を吐いた。

「後は、彼女との距離をうまく縮めるだけだ」

誰もいない廊下で、恭汰は言い聞かせるように呟いた。