ぺピン

自分を抱いている恭汰の手つきにも、京香はイライラしていた。

まるで壊れ物を扱っているようなその手つきに、京香は恭汰の顔をひっぱたいてやりたくなった。

ヘタクソと、大きな声で罵りたくなった。

それでも、
(1回だけだから)

京香は何度も自分に言い聞かせた。

自分が恭汰に抱かれるのは、この1回だけだ。

京香は感じていると言うように声をあげながら、恭汰とのこの行為が終わるのを待った。

(一馬さん…)

心の中で最愛の彼の名前を呟いた。

自分は一馬に抱かれていると、何度も言い聞かせた。