ぺピン

その日の夜8時。

会社を後にした恭汰は、とあるホテルの部屋の前に立っていた。

午後の業務中にホテルの地図を載せたメールを京香のパソコンに送った。

京香からの返事はなかった。

それから定時になると、京香はいつものように会社を後にした。

この部屋のドアを開ければ、京香がいる。

恭汰は深呼吸をすると、コンコンとドアをたたいた。

ガチャッと音がしたのと同時に、ドアが開いた。

躰にタオルを巻きつけた格好の京香が顔を出した。

予想をしていなかったその姿に、恭汰の心臓がドキッと鳴った。