ぺピン

「みたいなものよ」

毒づくように答えた京香に、
「あの先輩絡みか…」

春馬はやれやれと言うように息を吐いた。

「あいつ、私に手切れ金を突き返したうえに1回だけ抱かせろって言うのよ!?

信じられる!?

1回だけ抱かれてくれれば、仕事以外でもう2度と近づかないって言ったのよ!?」

ここが勤め先の会議室だと言うことも忘れて、京香は電話越しの春馬に向かって叫んだ。

「あんまりデケー声を出すんじゃねーよ。

耳が痛い。

それ以前に八つ当たりするなよ」

春馬は毒づくように言い返した。