京香が封筒をポケットの中に入れたことを確認した後、
「ただし、最後に1つだけ取引をさせて欲しい」

恭汰は人差し指を彼女の前に出した。

「取引、ですか?」

聞き返した京香に、
「この取引で、俺はもう本当に仕事以外で上杉さんに近づかない」

恭汰は宣言するように言った。

「私に何をしろって言うんですか?」

京香が聞いてきた。

言う前に、恭汰は深呼吸をした。

(1週間前に決めたじゃないか)

恭汰は自分に言い聞かせると、
「――俺と寝て欲しい」