「でさ!神無って言えば、入学早々姫作って超騒ぎになったじゃん?」

「あー、なってたねー」


確か1組の安達杏奈(アダチアンナ)だっけか? 私達は5組だし科も違うから接点は一切ないんだけどね。

「で、それがどーしたの」

「今日の登校の時に水島さんに肩抱かれて登校してきたんだって!」

「わぁお。そら凄い」

「更に他の幹部の皆さんにもチヤホヤされてたらしくて、正に逆ハー状態だったらしいのよ!」

なにそれ、それなんて名前の携帯小説ですか、

「ネタにしてもいいかな」

「実名伏せればバレないんじゃね」

そーいや君サイトでそんな感じの書いてたもんね。

「それにしても凄いな。美少女をイケメン不良が取り合うとか現実にあるんだ。」

ズズズーズコー

音を立ててパックのジュースを飲み干す。

「まぁ可愛いけど私の趣味じゃないわー」

「そう?私わりと好きだけど」

「すず、基本嫌いなタイプないじゃん」

「まぁ、あんま人見知りしないタイプだからねー」

「いや、あんたコミュ力カンストお化けでしょ」

「え、私お化けなの」

それは知らなかったわーなんて、いいつつ、ベコっと紙パックを潰す。


「ねぇ、すず」

「んー」

潰した紙パックをゴミ箱へ投げれば綺麗な放物線をかいて、ゴミ箱の手前で落ちた。

あららー、なんて言いつつ拾いに行けば友人に声をかけられ振り向いた。


「私の」

「へ?」

「それ、私のジュース」

「.......」

「.......」

「テへペロ」

「絶許」


友人が立ち上がる瞬間私もスタートダッシュを決めた。


校舎のどこかで、悲鳴が上がる。