それはなんだったのか 『げほっ…っ、』 苦しそうな異様な音の咳 『せめて、この夏だけはっ……』 聞いている方が切なくなる、絞り出すようなその声。 起きて、目を開けなきゃ そう思うけど瞼はあがらず身じろぎをしただけだった。 誰かがハッと息をのみそっと私の頭に手を置いた。 その手の温かさが夢か現実か分からないまま私はまたゆっくりと沈んでいった。