夜、布団の中で私は何度目か分からない寝返りをうった。







「絶対忘れない」





言葉とともに脳裏をよぎるのは儚く笑った遥の笑顔で


これまた何度目か分からないため息をつく。


看護士さんとの約束を思い出す。


『絶対に騒がしくしないこと、片付けはキチンとすること。それと―――――』





染井遥くんの身体に負担をかけないこと





もう、逃げてられないことを悟った。



遥がただの入院患者だなんてとっくの昔に思ってなんかいなかった。



そして、私の中でいつの間にか咲いていた、膨らんでいた気持ちも。



それを遥に知られてはいけないことも




――――もう、全部、分かっていた。