「あの子、マジすげーよな。天然であれやもん。ほんまは全部見透かしてるんちゃうか……って深読みしてまうわ」


サトシはケンジに目で“帰れ光線”をビシビシ送るものの、ケンジも何か感づいているようで、ちぃちゃんを必死にガードしていた。



「あいつなんやねん。ちぃちゃんの保護者か?」



結局サトシの体調はすっかり良くなり(つか最初から仮病なんだけど)、三人で屋上に上がって花火を眺め、その後ちぃちゃんを送り届けると、サトシはケンジのノロケ話に朝までつきあわされた。




オレはサトシの話に腹を抱えてゲラゲラ笑ってた。


「オレ、女の子とあんなに健全に花火を見たんいつぶりやろ……。手も握ってへん」


サトシは頭を抱えて呻いていた。



オレはまだ引き笑いしながら言った。


「だから、あの子はやめとけって。お前が相手にするような子ちゃうやろ?」


「んー……」


サトシは頭を掻きながらYESともNOともとれないような返事をした。


「ちぃちゃんは、遊びでつきあうようなタイプちゃうやん? 本気ならまだしも……」


「うーん……」


しばらく考え込み、それから顔を上げてニッコリ微笑むとこう言った。