オレの体調があまり良くないせいもあり、結局オレ達は花火を最後まで見届けもせずに家に帰った。

まだ母親は例の食事会から帰ってきていないようで、家には誰もいなかった。

キッチンで冷えたジュースを用意すると、オレの部屋で待っているユウに持っていった。


ユウはベッドに腰掛けて、いくらスイッチを押してもつかないエアコンのリモコンを、首を傾げながらカチカチと触っていた。


「あ……。そやった。今故障しとんねん。この部屋暑いやろ? あっち行く……か……」


ユウは、黙って首を横に振り、手からリモコンを放すと、ベッドに腰掛けたままじっとオレを見上げている。


やがて、目の前に立つオレの手からグラスを抜き取ると、それをベッドサイドのチェストの上に置きなおした。



そしておもむろにオレの腕を掴んでそのまま引き寄せる。


「ユウ……?」


オレは少しずつ体を傾けた。

ユウは腕をオレの首に絡ませて、そして、耳元で消え入りそうな声でつぶやいた。






「ナオ……エッチ……しよ……」