「サトシ君……肩……」


わたしは体をよじって、サトシ君の腕の中から逃れた。


サトシ君にしたら、このぐらいの軽いスキンシップなんてどうってことないんだろうけど、わたしはこういうのやっぱり苦手。

それに何よりも、シィ君に見られたことが、少なからずショックだった。



しばらく二人で歩いていると、急にサトシ君の足が止まった。

振り返ると、さっきまでのテンションがウソのように、なぜか辛そうな表情でたたずんでいた。


「サトシ君……どうし……」


「ごめん。ちぃちゃん、オレなんか具合悪いみたい」


「え?」


わたしは慌てて駆け寄った。


「実は朝から、調子悪かってんけどな。ちょっとヤバいかも……」


そういうサトシ君は見るからに辛そうな表情をしていた。


「大丈夫?」


彼の額にそっと手をあてた。

熱は……それほどなさそうだけど……。

でも辛いんだったらしょうがないよね。


「じゃ……もう帰ろうか」


「ん……。あのさぁ……。頼みがあんねんけど」


「え? 何?」



「家まで一緒に来てもらえる?」