呆然とするオレをよそに、サトシはさっさとちぃちゃんの方へ戻ると

「ちぃちゃん。あっち行こう」

そう言って彼女の細い肩を抱いて、あっという間に群集にまぎれていった。


その人ごみに入る直前、一瞬だったけど、彼女は振り返ってオレを見たような気がした。

少し不安げな表情で……。

その顔がなぜか妙に目に焼きついた。





サトシのやつ……。



おい……。



マジかよ……。





「わたしも浴衣にすれば良かったな……」


ユウはそう小さくつぶやくと、オレの指に自分の指をからませるようにして、手を握ってきた。