ユウは、オレのシャツの裾からパッと手を離すと、頬をプーと膨らませて、顔を背けた。

わかりやすいぐらい拗ねてる姿が妙に可愛いらしかった。


そういや、夏休みだというのに、受験勉強を理由に、デートらしいデートもしてやれていなかった。

家が近いのをいいことに、しょっちゅうお互いの家を行き来してはいるが、そんなのデートのうちに入らないよなぁ……。



うん、と決意を固め、オレは腰掛けていたソファから立ち上がった。



「何?」


急に立ち上がったオレにユウは不安そうな顔を向けた。


「シャワー」


「え?」


オレの言葉をすぐには理解できないのだろうか、まだポカンとした表情のユウの頭をクシャクシャって撫でた。

そして少しかがんで彼女の顔を覗き込むと、音を立てて頬に軽くキスをした。


「行くんやろ? 夏祭り。でも、その前にシャワー浴びさせて?」