サトシ君はそんなわたしに呆れているのか、驚いたような複雑な表情でこちらをじっと見つめていた。


そして、フッと頬を緩めると

「すみません」

ペコリと頭を下げて、わたしの手から吸殻を取って、近くにあったゴミ箱に捨てに行った。


戻ってきたサトシ君は、体をかがめてわたしの顔を覗き込んだ。


「ごめんな? りんご飴おごるから、許して?」


近いっ。

顔、近いよ……サトシ君。


戸惑いを隠したくて、わざと拗ねたように言った。


「ベビーカステラも……」


「ええよ、ええよ。何でも買ったる」


サトシ君は楽しそうに笑ってた。


どこからかお囃子の音が聞こえ始めた。

夏祭りが始まる。