さっきのシィ君と同じ反応をしてしまい、さらに体が固まった。


下がり始めたわたし達のゴンドラからは、一つ前のゴンドラが丸見えだった。

そしてその中の光景に、わたしは耳まで真っ赤になってしまった。


「ちょっ、向こうから見えるって! 座って!」


シィ君に腕を引っ張られ、そのまま彼の隣にストンと座らされた。


どうしよ……。

ドキドキしてる……。


付き合ってるんだもん。

当たり前なんだけど。

なんていうか……。



わたし達が見てしまったもの。

それは、一つ前のゴンドラにいる、アカネちゃんとタケル君のキスシーンだった。


「……大丈夫?」


放心状態のわたしにシィ君が声をかけてくれた。


「う……うん」


とりあえずそう答えたものの、心臓はまだバクバクしていた。


ふいに腕に違和感を感じた。


「シィ君、手……」


「え? うわっ……ごめんっ」


シィ君の手は、まだわたしの手首を掴んだままだった。

慌てて手をひっこめる。

ひょっとして、シィ君も動揺してたのかな……なんて思ってしまう。