もう一度、ちらっと彼の方を見る。

そして……

「ありがと」

そうポツリと呟く。


「んー? 何がー?」


「おいしいカクテル作ってくれたから」


面と向かって言うのはなんだか照れくさくて、わたしは適当な理由をつけた。


「んー」


サトシ君はそれ以上何も言わず、桜の木を見上げていた。




今日で最後。


今だけ我慢すれば……終わる。


新しい学年になって、生活が変われば、もう二人の姿を見ないで済む。


シィ君のこと、早く忘れられますように……。


そう思いながら、“シンデレラ”を飲み干した。





なのに……。

ねぇ神様……。


どうして?




新学期。

わたしは、クラス表が張り出された掲示板の前で呆然とたたずんでいた。