さっきからキッチンにいたサトシ君に声をかけられた。

涙をこぼさずに済んだことにホッとしながら、キッチンへ向かった。



サトシ君の家は、一言で表すなら生活感がない。

まるでモデルハウスのようだと感じた。

この広い家にお母さんと二人暮しだと言っていたけど……寂しくないのかな。

なんて余計なことを考えてしまう。



サトシ君はみんなのために料理を作ってくれていた。


わたしもとりあえずカウンターキッチンの中に入ったものの、何を手伝えばいいのかなぁ……って戸惑ってしまうぐらい、彼の手さばきは慣れていた。

あっという間に、チャーハンを炒め終わるとお皿に盛り付けた。


「すごい! サトシ君って、お料理するんやね」


「いや、たいしたもんできへんけどな。うち、おかんが夜仕事してるから、簡単なもんなら自分で作るで」


そっかぁ……。

それで慣れてるんだ。

でも、お母さんが夜お仕事してるってことは、サトシ君ていつも1人で晩御飯食べてるのかな?


うちはお父さんが仕事で残業の時以外は、できるだけ家族揃ってご飯を食べてるから

食事中はすごく賑やかなんだ。


1人で食べる晩御飯って、味気ないだろうなぁ……。


なんてぼんやり考えているとサトシ君とパチンッと目が合ってしまった。


「あ。今、1人で飯食ってる寂しいヤツって思ったやろ?」


「え?」