「今日、ナオんち、寄っていい?」


ユウがオレに腕を絡ませて上目遣いで問いかける。


「うん」って、オレは頷いた。


どうしても欲しかった、たった一つの物。

今は、すぐそばでオレだけに微笑んでくれてる。



ずっと勇気が持てなかった。


失敗するのが怖かった。

どうせ上手くいくはずないって、最初から諦めていた。

だからどうしてもその一歩が踏み出せなかったんだ。



けど……

キミはそんなオレの背中を押してくれた。


あの日……。


『シィ君にしかできへん! シィ君はユカリちゃんのスーパーマンやねん!』


息を切らせながらそう言って、それから小さな手で背中を押してくれた。