その背中が小さくなっていくのをただ立ちすくんで眺めることしかできなかった。


「うっ……ぐすっ……」


わたしはその場でうずくまって泣き出した。

自分で決めたこと、自分でやったことなのに……

なんで泣くの?



これで良いんだよね?

二人のために、わたしができること。


「ぅう……」


どれぐらいそうしていたのか……

ひとしきり涙を流した頃、誰かの声が聞こえた。



「アホやなぁ……」


その声に驚いて慌てて顔を上げると、

いったいいつからいたのか、すぐそばにサトシ君が立っていた。


「サトシ君? ええっ! いつから……?」



サトシ君もその場でしゃがみこんで、わたしの顔を覗き込む。


「全然気付いてなかったんかいな! オレずっとちぃちゃんの後ろおっかけて来ててんで。まぁ、ちょっと離れたとこにおったから、シィも気づいてないと思うけどなぁ」


「え……そうやったん?」


全然気付いてなかった……。


ひょっとして、わたしがシィ君に言ったことも聞いてたのかな……。