サトシ君が連れていってくれたのは、レンタル屋さんから歩いてすぐの、小さなカフェだった。

いかにも女の子が喜びそうな雑貨や洋書なども扱っていて、家具や食器はアンティークなのか、すごく落ち着く雰囲気。

店内には静かにフレンチポップスがかかっていた。


折れちゃいそうなぐらい細くてスタイルの良い、無造作に髪を束ねた可愛い店員さんがテーブルまで案内してくれた。

サトシ君とは顔見知りなのか、仲良さそうに話している。

この人って、ほんと女の子の知り合いが多そうだな……なんて思わずにはいられない。


「何飲む?」


そう言って、サトシ君はメニューを差し出してくれた。


何にしようかなぁ……。

こんなにあると迷っちゃうなぁ……。


メニューには、紅茶だけでもたくさんの茶葉の種類が書かれていた。

もしかしたら邪道かもしれないけど……。

わたしはその中のある飲み物がすごく気になった。


「サトシ君! すごい! これ!」


「ん?」


サトシ君もメニューを覗き込む。


「“キャラメルミルクティー”やって!」


キャラメルフレーバーのコーヒーは飲んだことがあるけど、キャラメル味のミルクティーなんて初めて見た。

甘いのが大好きなわたしは、想像しただけで、うっとりしてしまう。


「ミルクティーだけでも、めーっちゃ幸せな気分になるのに。そこにキャラメルの甘さが加わるねんでー。うわー……めっちゃおいしそう……。わたし、“キャラメル”って言葉に弱いねんー」


何が面白いのか、サトシ君は興奮気味のわたしの言葉にクスクス笑ってる。

オーダーを取りに来た店員さんまで笑っていた。