「ユカリちゃん。そのことシィ君に言わなあかんよ! シィ君は、ユカリちゃんのそんな気持ち、全然気付いてへん……と思う」


ユカリちゃんは力なく首を横に振る。


「わたしなぁ……。彼氏ができるたびに、わざとナオの前でノロケたりしててん。自分でもよくわからへんねん。ナオの気を引きたかったのか、それとも逆に、ナオと一線を引いておきたかったのか……。けど、そのせいでナオのこといっぱい傷つけた……」


そしてゆっくり窓を閉めると、涙をぬぐってわたしの方を見た。


「もう今更遅いねん。わたしらは、何度もタイミングを逃してる……。だから、もういいねん」


「ユカリちゃん……」


「ちぃちゃんにこんな話してごめんな。この事は、忘れて……」


そう言うと、ユカリちゃんはにっこり微笑んでわたしの頭をポンポンと撫でた。