『32、33、34……』


そこまでカウントした時点で突然シィ君の足が止まった。



……どうしたんだろう。


彼はじっと微動だにせずにたたずんでいた。

ある一点を見つめたまま。


その視線の先にあったものは……。



その時、突然ポケットの中の携帯が震えた。



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From アカネちゃん

今日予定通りちぃちゃん家でお泊りね!
楽しみにしてる♪

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一瞬頭をよぎりそうになった考えは、アカネちゃんからのメールのおかげで深く追求することもなくどこかへ行ってしまった。


ううん。違う。

わたしはその考えをわざと心の奥に封じ込めて、鍵をかけた。