クラスメイトの男の子はどこかへ行ってしまったのか、シィ君は一人になっていた。


シィ君は近くに落ちていたボールを拾い上げるとリフティングを始めた。


――ポーン……ポーン……ポーン……


ボールは正確なリズムと弧を描いて、シィ君の膝と空中を行ったり来たりしている。


『1、2、3、4……』


なんとなくリフティングの回数を数え始めた。


凄いなぁ……。


たまに、人から「絵、上手いね」なんて褒められることがあるけど、わたしからすれば、こんな風にボールを自由自在に扱える人の方がよっぽど凄いって思う。



『13、14、15、16……』



シィ君は最近元気がない……。


何か考えごとでもしているかのように、ぼんやりしていることが多い。

その姿を見ていると、なぜか不安でしょうがなくなる。


いつも優しいシィ君。


だけど、付き合っていても片思いしてた頃と変わらないぐらい、時々シィ君が遠くに感じる。


シィ君のこと、もっと知りたい。

だけど、聞いちゃいけないような気がして……。