アカネちゃんは心配そうに眉毛を下げて「うん」と頷く。

「わたしら、それが一番心配やってん。香椎君と彼女、仲良いみたいやし。ちぃちゃんが傷つくことになるんちゃうかって……」




頭の中をフル回転させて考える。


なんて答えればいい?


二人は、本気でわたしのことを心配してくれてる。

それは紛れもない事実。

けど、アサミさんが本当に言いたかったことは、きっとわたしのことじゃない。

好きな人を親友に奪われたという、アサミさん自身の傷がまだ癒えていないのだろう。

彼女が佐々木さんを今も好きかどうかなんてわからない。

だけど、親友と恋人から裏切られたというその過去の傷が、キリキリと今も彼女を苦しめているんだ……。


“わたしのため”って言ってたけど、多分そうじゃない。

彼女自身が心に傷を負っていて、誰かにこのことをどうしても言いたかったんだ。

辛かっただろうな……。

心の底からそう思った。



そして、ユカリちゃん。

ユカリちゃんとシィ君の仲。

わたしには入り込めない二人の世界。

今目の前にしてるアサミさんの姿は、いつかわたしにもやってくるかもしれない。

けど、来ないかもしれない。

いつも優しいユカリちゃん。

わたしは彼女に何度も勇気付けられたし、励まされた。

シィ君と付き合うようになったことを自分のことのように喜んでくれた。

この話を聞いたからといって、彼女の眩しい笑顔を嫌いになれるわけがなかった。