制服も冬服に変わり、もうすっかり校内には秋の雰囲気が漂っている。


そんな休み時間の廊下。

わたしとシィ君は話していた。



「ちぃちゃん、今日も部活?」


「うん。もうすぐ学祭やから……」


「そっか。頑張れよ」


シィ君はそう言って、自分の教室へ戻って行った。


生徒達が行き交う廊下をぼんやり眺めた。


学祭前のこの時期、みんなやたらと忙しそうに動いている。

わたしは、クラスの出し物はもちろんのこと、美術部の方の展示の準備もあり、毎日遅くまで学校に残っていた。


シィ君とゆっくり話す時間もあまりなかった。

それでも、少しの時間を作ってこうして会いに来てくれる。


いつも通り優しいシィ君。


結局、公園で見たあのことについてシィ君は何も言ってこない。

だから、わたしからも何も聞いてない。

きっとユカリちゃんから聞いたことで全てだ。


それ以上、聞かない方が良い……。

深く詮索したら、嫌われそうな気がした。

それが怖くて何もできなかった。



その時、ポケットの中の携帯が震えた。


アカネちゃんからだ。


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From アカネちゃん

ちぃちゃん忙しい?
少しでいいねんけど
放課後、時間取れる?

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どうしたんだろ?

何かあったのかな……。