「そんなんちゃうって……」


ほんとか?

ほんとにそうなのか?


「オレも人のこと言えへんけどな。ややこしいことすんなよ? ちぃちゃんはユカリの友達やろ? オレらの仲間でもあるんやで。お前、それわかってやってんの?」


「……わかってる」


そう言うのが精一杯だった。


「ま、オレには関係ないけど」


そう言って立ち上がると、サトシは部屋を出て行った。


一人残された部屋で、オレは彼女と付き合うきっかけになった公園での出来事を思い返していた。


あの時オレは、本当は断る……つまり彼女のことを振ろうと思っていた。


ちぃちゃんのことは“良い子”だって思う。

子供みたいな笑顔を“可愛い”とも思う。

だけど、付き合うっていうのとはちょっと違う気がしてた。


どう言えば彼女をできるだけ傷つけずに断れるか……って、そればかり考えていた。

その時、あの事件が起きたんだ。