「んー?」


サトシは興味のなさそうな返事をした。

相変わらず雑誌を読みながら。


「だから。お前、二股とかもありやん? そういうの辞めろって話。ちゃんと本命の子と……」


サトシはやっと顔を上げて、パタンと雑誌を閉じると無造作にそれを床に落とした。


「シィに言われたないけど……?」


オレの言い方がよっぽど気に入らなかったのか、顎を上げて挑発するような態度でそう言った。


オレ?

オレに言われたくないって?

どういうことやねん。


「お前……ちぃちゃんのこと、ほんまに好きなんか?」


一瞬言葉を失うオレ。


「“可愛い”って思ってるよ……」


“好き”って言葉をわざとはずしたオレは卑怯だ。


サトシは全部お見通しって顔でふっと息を吐き出すと、オレが一番触れて欲しくない部分をえぐりだした。


「ユカリがあかんからって、ちぃちゃんで誤魔化してるだけちゃうんか?」