「おはよー!」


教室に入り席につくと、こんがりと小麦色したユカリちゃんが話しかけてきた。

夏休みはどうだったとか、彼氏とどこ行ったとか、そんな話をうれしそうに語っている。


「ユカリちゃん。あのさ……」


言いかけてやめた。

シィ君とのことはユカリちゃんも応援してくれてたし、こういうことって報告すべきだよね?

でも、どうしても本当に付き合ってるのか自信がない。


「何? どうしたん?」


ユカリちゃんは、キョトンとしてわたしを見ている。


その時、スカートのポケットの中で携帯が震えた。

メールが1通届いている。

そのメールを開いたとたん、また顔が真っ赤になった。



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From シィ君

今日、一緒に帰ろう
式が終わったら
正門で待ってて

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「ちぃちゃん? おーい。ちぃちゃん?」


呆然としているわたしの顔の前で、ユカリちゃんが手を振る。


「ユカリちゃん……」


わたしは昨日の出来事を全て話して聞かせた。


「キャ―――!」


その声にクラス中の視線がわたし達に集まる。

ユカリちゃんは突然ギューって抱きついてきた。


「良かったなぁ。良かったなぁ、ちぃちゃん」って、まるで自分のことのように喜んでくれてる。


「く、苦しい……。ユカリちゃん」


照れ隠しの為にそんな風に言っちゃったけど、本当は涙が出そうなぐらいうれしかった。

ありがとう。

ユカリちゃん。