「え? 家だけど……」


そう答えると、シィ君はしばらく考え込んで、それから呟いた。


《今から……出れる?》


「え……」


《ちぃちゃん家ってどこ?》


「桜台……」


《じゃぁ……南公園で待ってるから》


そこまで言うと、シィ君は電話を切った。


頭がぼんやりとしてて、すぐには動くことができなかった。


なんで呼び出されたんだろう?

フラれるのかな?

ちゃんと振るためにシィ君はわざわざ会って話そうとしてくれたのかな。


だとしたら、わたしもちゃんと向き合わなきゃ。

自分の気持ちをきちんと伝えてから、振ってもらおう。

わたしはベッドサイドに置いてある鏡を覗いた。


ひどい顔……。

布団にもぐっていたせいで、頭はボサボサ。

目は赤く充血して、まぶたがほんの少し腫れている。

とりあえず早くこの目の腫れと充血を抑えなきゃ。


ベッドからのそのそと立ち上がり、でかける準備を始めた。