「ちぃちゃん、絆創膏持ってる?」


そう言いながらいつものように窓から入ってくるシィ君。

その足を見ると膝に血が滲んでいた。


「うわっ。痛そう……。大丈夫?」


「うん。たいしたことないんやけどな。でも、血ぃ止まらへん。ちぃちゃんやったら、絆創膏持ってそうやなぁって思って……」


「持ってるよ。あ……でも、ロッカーだ。待ってて。取ってくるから」


美術室を飛び出した。



ロッカーを開けると絆創膏を数枚取り出して、スカートのポケットに入れた。

来た道を戻ろうとしてふと足が止まった。

スケッチブック……。

大丈夫かな?

机に伏せてそのまま出てきちゃった。


まさか見ないよね?


シィ君……。

急に嫌な予感に襲われる……。


さっきよりさらに急いで美術室へと戻った。


そしてドキドキしながらドアを開ける。




それは……

わたしが今一番見たくない光景だった。