「…いってくる。」


そーいって俺は
やたら荷物の多いエナメルバックを肩にかけて靴を履いた。

「大地!頑張ってきなね!」

「…おう」

バタン

母さんのやたらでかい声援を受けて
俺は一歩踏み出す。

着慣れない新しい制服。
見慣れない同じ年の人間。


今日から俺は高校生になる。





「なーなー、どこ中??」
「部活は??」

騒がしい。


高校って人数多いな。
これが俺の率直な感想。

って小規模な中学だったから思うのも無理ないよな?


とにかく…
「うっせーな…」


こんな騒がしいところで3年間?

昔の俺なら行けたかも。


でも今の俺には無理だ。



こいつらみたいに笑っていれない。






とりあえず席につこう。

俺は4組の14番。
よっしゃ一番後ろの席!


席についたとき…



ガタガタ…


「ちっさ…」

ひとつ前に女の子が座った。

めちゃくちゃ小さい。

スポーツ推薦でこの高校に入る人が多いからか、この高校には大体女子でも160以上しかいない。
それに比べると全然小さい。


「なぁ、何センチよ?」

俺は瞬発的に聞いていた。
そして彼女は振り返った。

そして目が合った。





時が止まった気がした。



運命の羅針盤が少しずつ周り始めたのかもしれない。