もう一度、その手を。

中学三年になって彩が転校してきた。
先生の配慮で三笠りんとその取り巻きとは違うクラスで、翔太とは同じになった。
教室でひとりでいる私に彩はいつもいつも話しかけてきた。
それでも私はあまり話さなかった。仲良くしなかった。
裏切られるのが怖かったから。

ある日、私は忘れ物に気づいて教室の校舎に戻った。

一階のろうかで、もめる女子を見つけた。


…三笠りんとその取り巻き、そして、彩。


「何回言ったらわかるの?!あいつとは関わるなって言ってるでしょ?」
「本当よ!あたしたちは早瀬さんのことを思って言ってるの!」
「あいつは去年りんをいじめてたんだから。」

ズキンッ。
私は彩の返事を聞くのが怖くては早くその場を去ろうとした。けど、足がついてこなかった。

そのとき、彩は

「だったら何?あなたたちには関係ない。あたしの人間関係に口出ししないでくれる?」

「っ!だから!わざわざあんたの心配をしてやって…」

「余計なお世話よ。それに、あんたの言ってることデマって知ってるから。あの子はそんなことしない。確かに今はあまり仲良いわけじゃないけど、、



あんたよりは、仲良くなれる気がするの。
仲良くしたいの。


そして、あの子に信じてもらいたいの。」




「チッ。勝手にすれば。」

そして、りんと取り巻きは去っていった。