「うん」
「じゃあ明日東京出るとき電話して。私駅まで迎えに行くから」
「うん、じゃあ明日」
「うん、明日ね」
シュウと電話を切ると、明日ここにシュウが来るうれしさとは逆に、不安でいっぱいになった。
お父さんがシュウに酷いことを言ったら……?
秀司とのことを話したら……?
でもお父さんとシュウが会わないと、一歩も進めないんだ。
後悔しても時間は戻せない。
だから私はただ前を見て、堂々としていればいいよね?
あの夜、秀司とはなにもなかったんだから。
――翌日
「シュウを迎えに行ってくるね」
私はシュウが初めて家に来るドキドキと、父親がシュウになにを言うのかという不安で、落ち着かない。
景色を見ても、知り合いのおばさんに会って挨拶をしても、落ち着かなかった。
シュウと待ち合わせた駅に着き、改札の側で待つ。
少し人が見えるだけで、シュウじゃないかとドキドキした。
シュウ、まだかな?
少しすると、少し多めの荷物を持つシュウを見付けた。
私はシュウに向かって大きく手を振り、シュウはゆっくり歩いて言う。
「ねぇ倫子さん、人があまりいなくて着替えるところある?」



