――土曜日
前日の朝になっても、父親は首を縦に振ってくれない。
シュウになんて言おう……。
父親が納得する迄待ってもらうしかない……?
でも、夕方になると父親は急に機嫌よさそうな顔をして、私に言った。
「倫子、明日、あの男を家に呼んでもいいぞ」
「えっ?」
゛あの男゛という呼び方はムカつくけど、ここでそんなことにムカついても仕方ないよね。
「でも1つ言っておくが、あの男がなにを言っても認める気はないからな」
「シュウは負けないよ。何回も通うって言ってくれたから」
「そんな根性はないだろ」
「そんなことない。でも……ありがとう、お父さん」
「明日、十三時。時間厳守だからな?遅れたら会わないぞ」
「うん!シュウに電話して来る!!」
私はすごくうれしくて、シュウに電話をする。
「はい」
「シュウ?私!」
「うん」
「あのね、明日お父さんが会っていいって!十三時に来てって!時間厳守だからね?!」
ハイテンションの私に、シュウは笑いながら言う。
「倫子さん、声デカイよ」
「だってうれしいんだもん。でもお父さん、認めないって言ってるから、絶対負けないでよね?」



