泣きそうになったとき、シュウから電話が鳴った。
「もしもし」
「倫子さん?」
「うん」
「声が暗いよ。なにかあったの?」
シュウに心配をかけたくない……。
「ううん、なにもない」
「お父さんにダメだって言われた?」
「……なんで?」
「倫子さんが元気がないときは、いつも俺のことでなにかあったときだから」
……。
悔しいけど当たってる……。
「本当はね、会わないって言われたんだ……」
「やっぱり。いいよ、俺が電話するから」
「ううん、いい」
だってシュウと私の二人のことだもん。
シュウにばかり頼らないよ。
「大丈夫?」
「うん。絶対会ってもらえるよう、説得するから。シュウは待ってて」
「うん」
電話を切ると、すごくホッとした。
父親に反対されても、シュウのことを解ってくれたら、きっと賛成してくれる。
今はまだ、そこまでたどり着けていないだけだもん。
そう思いながら、毎日父親を説得したけど、父親は話しを聞くどころか、口も聞いてくれなかった……。



