「ねっ?倫子のタイプじゃないかなって思ったの」


「…タイプなんかじゃないよ」


「そう?」


「もう寝るね。おやすみ」


「おやすみ」



私は部屋に戻るとすぐに携帯の着信を確認する。

でもシュウの着信は無い。


シュウは何をしてるの…?

私はリダイアルからシュウの番号を出す。

まだ10時……。


シュウは起きてるよね?


真っ暗な部屋にテレビを付けて、横になっているシュウの姿が目に浮かぶ。


声が聞きたい…。


私の心臓はバクバクして、震える手でシュウと繋がるボタンを押した。


呼び出し音が鳴る。


胸が苦しい。


シュウが出たら何て言おう…。


頭が真っ白になる。


そして呼び出し音が止まった



「もしも…」



言いかけた時、機械音が流れた。



「ただいま電話に出る事は…」



私の体の力は抜け、携帯を切ると、そのまま携帯から手を離した。


カタンと転がる携帯を見て、悲しくなる。


シュウは電話に出なかった。


シュウの携帯に残る私の着信履歴は、シュウに言った言葉、


『シュウの連絡を待つ』


それが出来なかった証拠だけを残したんだ。



電話なんてしなきゃ良かった……。