「裕介どうした?」
ふて腐れた裕介に父親が心配そうに聞く。
「……」
「拗ねてるのか?じゃあおじいちゃんとアイスクリームでも食べに行こうか」
「うん!」
「お父さん!!甘やかしたらダメだって何回も言ってるじゃない!」
「たまにはいいだろ」
裕介は父親と私のやり取りを見て、泣きそうな顔で私を見る。
公園もダメ、お父さんと出掛けるのもダメじゃ可哀想かな……。
「分かったわよ……。でも暖かい格好をして、冷たい物はダメ。早く帰ってくるのよ?」
「うん!」
「よし。じゃあ裕介行こうか?」
父親は裕介に上着を着せて手を繋いで玄関に向かう。
私はふたりの姿を見送ると、居間に行き母親と一緒にテレビを見る。
少しすると、玄関から父親の声が聞こえた。
「倫子ー」
「忘れ物かな?」
母親と顔を見合わせて笑うと、私は玄関に向かった。
「なに?忘れ物?」
父親は驚いた顔をして首を横に振ると、小さな声で言った。
「アイツが来てるぞ。どうするんだ?」
「アイツ……?」
私の頭の中でゆかりさんの顔が浮かんだ。
でも父親は言った。
「……高山だ」



