涙を必死に堪える私を、ゆかりさんは強い目で見つめて、感情を隠すように、呟くように言った。
「でも……つまんなかったの。秀明との生活……。なにを考えてるかサッパリ分からないし、笑わないし、魂が抜けてるみたいで、まるで人形と暮らしてるみたいだったわ」
「……」
「だからいらなくなっちゃった……」
「……ふざけんな!」
私はその言葉を聞いた瞬間、ゆかりさんの頬を殴った。
だって許せないじゃない……!
あんな苦しくて堪らなかったの。
それでもどうしようもなくて。
離れるしかなかったんだよ……?
それを『いらなくなった』なんて言わないでよ……。
「貴女、まだ秀明のことが好きなのね」
ゆかりさんはそう言って寂しそうに笑う。
その顔を見た瞬間、ゆかりさんはまだシュウのことを好きなんだと思った。
なにを言えばいいのか分からない……。
「……」
「迎えにいってあげれば?」
「……」
「まだあのマンションにいるわよ?」
「えっ?」
あのマンションでシュウと暮らしてたの?
いつか私と結婚生活をしようとしていたあのマンションで……。
胸がズキンと痛んだ。



