その時、携帯が鳴った。
私は今までほとんどしなかった期待をする。
シュウ?!
慌てるせいで鞄の中にある携帯を探せなくて、鞄をひっくり返して携帯を見付けた。
―着信 片瀬くん
……。
私は落胆を隠せないまま電話にでる。
「……はい」
「あっ、神田さんですか?」
楽しそうな片瀬くんの声が私を更に悲しくさせる。
なんだろう?
胸が重くてチクチクするんだ。
又シュウに思いしらされた。
「……今日はありがとう」
「いえ。僕楽しかったです。又来週の日曜日……」
私はシュウじゃないとダメなんだ。
シュウが大好きだから……。
楽しそうに話す片瀬くんの言葉をさえぎって私は言った。
「ごめん。……行けない」
「じゃあその次の……」
「片瀬くん、ごめん……。来週も再来週もずっと無理なの」
「えっ……?」
「……ごめん」
私はそう言って電話を切ると、その場に座り込んで泣いた。
すると裕介が小さな体で私を包んでくれたんだ……。
「ママ、なかないで」
私は胸がキュンとなって、裕介を抱きしめて思い切り泣いた。
ごめん、裕介……。
新しいパパは無理みたい……。
……ごめんね。



