アパートに帰ると、これからの生活を考えながら、貯金通帳とにらめっこする。
産休は一年で貯金は百万しかない……。
やっていけるかな……。
又不安になったけど、お腹の赤ちゃんが勢いよくお腹を蹴って、少し笑った。
そうだよね。
やるしかない!
私は久しぶりに母親の携帯に電話をした。
「もしもし」
「お母さん?」
「倫子?ちゃんと食べてるの?」
「食べてるよ。お腹の子もすごく元気」
「そう。よかったわ。いつ産まれるの?」
「昨日検診に行ったら、いつ産まれてもおかしくないって」
「そう。楽しみね」
「お母さんも楽しみにしてくれてるの……?」
「だって倫子の子供よ?お祖母ちゃんになるのよ?形はどうあれ、嫌な訳ないわよ。心配はしてるけどね」
「良かった……。……お父さんは?」
「相変わらずよ……。でもね、なにかあったらいつでも甘えなさい。帰ってきてもいいのよ?」
「でも……ひとりでできるところまでがんばってみ……」
そう言った瞬間、少しお腹に痛みを感じた。
「倫子……?」
「……もしかして陣痛?始まったかも……」
「じゃあ、すぐにそっちに行くわね」
母親はそう言って一方的に電話を切った。



