空気が最悪の中母親は、少し寂しそうな顔をして聞いた。
「シュウくんの子供なの……?」
私は黙ったままうなずく。
「シュウくんは知ってるの?」
「前に電話したけど……言えなかった」
「……そう」
もっと怒られるかと思った。
「おろせって……言わないの?」
「言わないわよ。それより……黙って産むつもりだったの?」
「早い内に言うと、おろせって言われると思ったの……。だから……ごめん」
「でもね、ひとりで子供を産んで育てるのは簡単なことじゃないの。だから……帰ってきなさい」
「……いいの?」
私がそう言うと母親は怒って言った。
「当たり前でしょ!ひとりでどうするの?会社に連れていって育てるつもり?そんなの、お母さんが許さないわよ!」
「……ありがとう」
「でもね、産まれたあと、いつかは父親のことを話さないといけないし、寂しい思いもさせるだろうし、本当に大変よ?ちゃんとできるの?」
「大丈夫。頑張るから……」
「頑張りなさい。後はお父さんね」
母親はそう言うと苦笑いした。
「お父さんはいつ帰ってくるの?」
「明日の朝よ。今回は自分の口で話しなさい」



