それでも朝は当たり前のように毎日やってくる。
一日1日がなにも変わらないようでも、お腹の赤ちゃんは成長しているんだ。
シュウとはあれ以来全くの他人になって、少しずつお腹が大きくなってきたころ、暫く遠ざかっていた実家から電話が鳴った。
「もしもし」
「倫子?最近なにしてるの?」
母親の声を聞くと後ろめたい気持ちでいっぱいになった。
「んー。最近は仕事が忙しくて……」
「今日帰ってこれない?明日は日曜日だし、たまには泊まりにきたら?」
断る口実を必死に考える。
「ちょっと疲れてるから」
「でもね、ちょっと話もあるし、帰ってきなさい」
「……うん」
母親の少し強い口調に断りきれなかった。
なにかあったのかな?
「じゃあ待ってるから。気を付けて来るのよ?」
「分かった」
お腹が目立たないような服に着替え、すぐに実家に向かう。
話ってなんだろう……?
私ももう、話さないといけない時期かもしれない。
言えそうなときがあったら言おう。
言う勇気が出なかったら、来月ちゃんと話そう。
そう思った。
「ただいま」
母親はいつものように私を出迎えてくれる。



