伊勢○を出てタクシーを拾うと、シュウのマンションへと向かう。
私はシュウと出会って間もない頃の誕生日を思い出していた。
演技だったけど、シュウの告白にドキドキしてたんだ。
あの時の指輪。
何処かにいっちゃったけど……。
シュウのマンションに着いてタクシーを降りると、又手を繋いでシュウの部屋へと向かう。
シュウの部屋に入ると、シュウは早速紙袋を開けて、箱を2つ取り出した。
「2つ?」
「うん。1つは倫子さん。もう1つは俺の」
そう言ってシュウは優しく笑う。
「…ペアリング?」
「うん。倫子さん、離れてると寂しがるんじゃないかと思って」
無表情で言うシュウに、私は思わず抱きついて言った。
「シュウ…ありがとう!」
シュウがそんな事考えてくれてるなんて、思わなかった。
「倫子さん、つけよ」
箱を開けてシュウと私の右手の薬指に、指輪がつける。
私は嬉しくて、右手を上げてキラキラ光る指輪をジッと見た。
思いがけないシュウからのサプライズが、私を幸せにする。
「シュウ、本当にありがとう…」
「うん。ご飯にしようか?」



