電車に乗って新宿に着き、少し歩くと伊勢○の中に入る。
「何か欲しい物があるの?」
「うん、ちょっとね」
そう言ってシュウはカルティエのショップに入って行く。
「何?」
「好きなの選んで」
そう言われて見ると、ガラスケースの中の指輪がキラキラしていた。
「えっ?…いいの?」
「うん」
私はジックリと見て指輪を選ぶ。
「じゃあ、これ」
シルバー色をした、シンプルでそんなに高くなさそうな指輪を指差す。
傍に居た店員がガラスケースの中から指輪を取り出した。
「どうぞ」
指輪を丁寧に渡され、私は右手の薬指に嵌める。
少し重いけど、凄く気に入った。
「どう?」
「うん、これがいい!」
「じゃあ、彼女に合うサイズの物をお願いします」
店員のお姉さんに指のサイズを測って貰うと、シュウが言った。
「倫子さん、ちょっとその辺ブラブラしてて」
「…うん」
私はシュウに言われた通りに、店内をブラブラする。
少しするとシュウが小さな紙袋を持って、私の所に来て言った。
「じゃあ、帰ろうか?」
「…もう?」
「うん。これを買いたかっただけだから」



