「着替えたら会社行くから」
「なんか……すみません」
「いいよ。仕事が終わったら一回顔を出すよ。その時携帯渡すから」
「……?携帯?」
「携帯がないと困るだろ?」
「でも……」
「気にしなくていいよ。プリペイドのやつにするから」
三上さんはそう言って着替えると、急いで会社に向かった。
「本当に三上さんいい人だよね。乗り換えちゃえば?なんてね」
それもひとつの選択なのかな……?
今までシュウしか見れなくて、周りをちゃんと見れてなかったのかな……?
「……倫子?」
「……ん?」
「私は倫子が幸せになれるなら、倫子がどんな選択をしても倫子の味方だからね」
「ありがとう……」
私が幸せになれること……。
三上さんと一緒にいたら大事にしてもらえると思うし、平穏な日々を送れると思う。
シュウとはきっと平穏な日々なんて送れないけど、一緒にいると気持ちが満たされるんだ。
どっちが幸せなんだろう……?
「まぁ、ゆっくり考えるといいよ。急ぐと後で後悔するかもしれないし」
「そうだね」
私と紗香は顔を見合わせて笑うと、紗香は時計を見ながら言った。



