「ただいま」
「お帰り。遅かったのね。ご飯食べるでしょ?」
「うん」
食卓に行くと、食事を済ませた父親が聞く。
「どうだったか?」
「…うん。頑張れそうだよ」
私は嘘をついた。
もう心配はかけたくない。父親の紹介で入れて貰った会社だから。
「良かったな。頑張れよ」
「うん」
ご飯を食べ終わり部屋に戻ると、不安と寂しさが私を襲う。
こんな時シュウが傍に居てくれたら、それだけで頑張れるのに…。
携帯を握りしめて、疲れきった私はウトウトし始めた時、携帯が鳴った。
シュウ?!
一気に目が覚めて私は電話に出る。
「もしもし」
「倫子さん?」
「うん」
シュウの声が私に元気を与えてくれる。
「仕事、どうだった?」
「頑張って残業しちゃった」
「へぇー。あのさ、土曜日家に来る?」
思いがけないシュウの言葉にテンションが上がる。
「行くー!」
「じゃあ、この前と同じ時間で同じ場所ね。迎えに行くから」
「うん!」
電話を切ると私は決心する。
ちゃんと言おう。
シュウが居なかった時の事を。
シュウは受け入れてくれるよね…?



