「いたんだ……?シュウならまだ仕事で……」



必死に笑顔を作ろうとする私に、ヒデキはすごく冷たい目をして答えた。



「うん。アンタがひとりで帰ってくるのを期待して待ってたんだ」


「えっ……?」



なんの為に……?



「本当は……シュウの弟だなんて嘘でしょ?!」



恐怖で声が震える。


するとヒデキは鼻で笑うように答えた。



「うん。嘘だよ」



やっぱり……。

弟なんかじゃなかった



「なんの為に?なんの為にここに来たの?」


「なんの為……?復讐だよ!」



ヒデキはそう言って思い切り壁を殴る。



怖い……。

時間を稼がなきゃ。

シュウが帰ってくるまで、時間を稼がなきゃ……。



「復讐って……?私もシュウも貴方のことなんて知らない……」



そう言うとヒデキの顔がどんどん険しくなって、怒鳴るようにヒデキが言った。



「そりゃあ知らねぇよな?知ってたら俺と一緒に暮らすわけねぇし、アンタも高山も幸せそうに生活なんかできねぇよ!そんな資格ねぇよ!!」



もう、

なにを言えばいいのか……言葉が出ない。



「……アンタも知ってるだろ?昔、高山が刺されたの」



私はコクりとうなずく。



「俺は高山を刺した女の弟だよ!」