「……?ないよ」
「絶対?」
「うん。倫子さん、そんな心配してたの?」
「……それだけじゃないけど。いいよ、ヒデキをもう少し置いても。でも早めに……」
「分かってるよ。ありがとう倫子さん。でも本当に嫌だったら言って?すぐに出ていってもらうから」
「うん」
私はシュウの腕にソッと腕を絡ませて、部屋の前まで行き、部屋に入る。
「ただいま」
私がそう言うと、ヒデキは家で留守番をしていた犬のように、私たちを出迎える。
「お帰り。ふたりしていなくなるからさ、俺どうしようかと思ったよ」
「これ、買ってきたから食べようよ?」
コンビニで買ってきたお菓子を出しテーブルの上に置くと、冷蔵庫からジュースを出してグラスに入れた。
「……あのさ、俺本当にここにいていいの?」
申し訳なさそうにヒデキが言う。
「いいよ。なんで?」
「ふたりともい居なくなったから、俺が邪魔なんじゃないかと思ったんだ」
シュンとしたヒデキの顔を見ると、少しだけ可哀想になった。
「邪魔だけどいいわよ。でも、なるべく早く出る準備をしてね」
私がそう冗談っぽく言うとヒデキは言った。



