「神田さん!」
「はい……」
「俺からは掛けない。けど……又電話して?愚痴でもなんでも聞くからさ」
「……」
「じゃあ、おやすみ」
「……おやすみなさい」
電話を切り、シュウとヒデキが待つマンションに帰る。
マンションの前まで行くと、シュウがひとりで立っていた。
「……どうしたの?」
「倫子さんが心配だったから」
シュウのその言葉を聞くと、罪悪感でいっぱいになって、私はシュウに駆け寄り抱きついて言った。
「ごめんね」
シュウとのことはふたりで解決するのが一番なのに……。
部屋に戻る途中、シュウが言った。
「俺、やっぱりヒデキに出ていってもらうよ」
「えっ?」
「あのあと、倫子さんも一応女だしさ、怖いのかなっていろいろ考えてた」
「……一応」
「うん」
私が三上さんに電話してたとき、私のことをちゃんと考えてくれてたんだ……。
シュウも、私がシュウを追い出せなかったときと同じような気持ちなのかもしれない。
今の環境がずっと続く訳じゃないし、私がヒデキとふたりにならなかったらいいんだよね?
「ひとつ聞いていい?」
「なに?」
「シュウは男に興味ないよね……?」



