「080-****-****だよ」
「うん。分かった。ありがとう」
「ううん。じゃあ寝るね」
「うん。おやすみ」
私は紗香との電話を切ると、ノートにメモした三上さんの携帯番号を、携帯の電話帳に登録する。
三上さん、まだ起きてるよね?
登録したばかりの三上さんの番号を出して、発信ボタンを押した。
「はい」
久しぶりに聞く電話越しの三上さんの声に、少しだけ胸がドキドキした。
「……神田です」
「神田さん?!」
「元気……でしたか?」
「うん。相変わらずだよ。神田さんは?」
「元気ですよ。今……彼氏と一緒に住んでるんです」
こんなときだけ三上さんに頼るのは、都合がよすぎるのかもしれない……。
三上さんに期待させるのはもっとダメなんだ。
「……そっか。でもいいよ。神田さんの力になれるなら嬉しいから」
「えっ?」
「なにかあったから電話してきたんだろ?」
三上さんの優しい言葉に、電話したことを後悔した。
なんかシュウとの悩みなんて言えないよ……。
「いえ、なにもないです。夜遅くにすみません。じゃあ……」



